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四国カルストから四万十川を眺めながら食べる恐るべき讃岐うどん② [四万十川に行こう!]

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 旅先の宿で最も困るのが、部屋に時計がないときである。自分では時計を持ち歩かない主義なので、まわりが暗いうちに目を覚ましたときなど非常に困る。特に車を使っての旅の場合、朝5時くらいならそのまま起きていてもかまわないのだが、3時くらいだと、寝不足で居眠り運転…なんてことにもなりかねないので、ムリしてでも寝ておきたい。で、今現在の時刻が知りたくなるのだが、この部屋には時計がない。「困った、何時だろう?」などと考えているうちに、小さな物音が妙に気になったりして、どんどん目がさえてきて、そのうち窓の外も明るくなってくる。
 「四万十川をめざす四国の旅」の2日目。今日は国道193号線を南下して徳島県に入り、祖谷渓の「かずら橋」に立ち寄ったあと、いよいよ高知県の「四万十川」に入る。
 朝食後のデザートとして出されたアイスクリームが美味しくって、とってもいい気分で「ウッディーハウスミモザ」を出発。まもなく車は徳島県に入り、吉野川沿いの国道192号線を阿波川口を目指して西へと走る。yoshinogawa.jpg
 阿波川口から国道32号線にはいると、吉野川は急にその表情を変える。今までの大きなゆったりとした流れから、断崖や奇岩に囲まれた急流へと変化するのである。このあたりでは「吉野川ラフティング」とよばれる、専用のゴムボートで急流を下るウオータースポーツが盛んだ。この日も、時折垣間見える川面を、白い水しぶきをあげながらゴムボートが下っていくのが見えた。
 まもなく車は祖谷の「大歩危・小歩危」といわれる渓谷に入る。大股で歩いても、小股で歩いても危険というところからこの名が付いたといわれるが、2億年もの時を経て、吉野川の激流が作り出した断崖絶壁が10km近くも続くその景勝はなるほどの大迫力。川の色もペパーミントグリーンに見えて、とても美しい。
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 休憩がてらに立ち寄った「ラピス大歩危」という石の博物館で、大歩危峡の歴史を勉強(?)した後、車は県道45号線の急な上り坂を「祖谷のかずら橋」へと向かう。

 1185年、源平合戦・讃岐屋島の戦いに敗れた平家の落人は、剣山近くの谷に隠れ入ったという。祖谷はその伝説の谷で、「かずら橋」は、伝説では、落人たちが平家一族の再興を期して、剣山へ馬の調練に出かけるために架けたものといわれている。シロクチカズラの茎を編んで作った橋は、敵が攻めてきたときに、すぐに切り落とせるという利点もあったらしい。
 「祖谷のかずら橋」は全長約45m、幅2mで、高さは14mもあり、日本三奇橋のひとつに数えられている。もちろん現在はワイヤーで補強されているが、ゆっくり足を踏み出しても、これが結構ゆれるのだ。誰かがスタスタと歩いていったりすると、橋全体がゆれて、どこかにつかまっていないと立っていられない状態。おまけに下を見ると足元の丸太と丸太の間から14m下の祖谷川の流れが見えて、プチ高所恐怖症の私は足がガクガク震えてしまう。
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 45mがなんと長かったことか。やっとの思いで「かずら橋」を渡りきった私は、地に足がついていることの喜びをかみしめながら、「祖谷のかずら橋」を後にしたのである。
 ところで、祖谷の名物といえば、この「かずら橋」ともうひとつ、「そば」を忘れてはならない。なんと平家伝説よりも昔から、このそば作りはおこなわれていたらしいが、谷川に山が迫る、秘境の雰囲気ただようこのあたりの人にとっては、山の気候に合い、土地がやせていても育つ蕎麦は、大切な生活の糧でもあったのだろう。
 名物といわれている割に、高知へと向かうこの国道32号線沿いには、なかなかそば屋が見つからない。お昼もとっくに過ぎ、半ばあきらめかけた頃、やっとのことで、その名も「そば茶屋」という店を発見。店の横に車を止め、さっそく中に入る。
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 「そば茶屋」は、人のよさそうなおじいさんとおばあさんの店。店の奥の席に座り、さっそくそばを注文。お茶をすすりながら窓の外を眺めると、木々の間、遥か下を吉野川が流れているのが見える。窓の横に置かれた水槽には小さな鮎が飼われ、その上におかれた米を目当てに、ときどき野鳥がやって来たりする。
 しばらくして、おばあちゃんが運んできてくれたそばは、とてもいい香りで食欲をそそる。少し厚めに切られた、ぼそぼそとした“これぞ手打ち”といった感じのそばがまた嬉しい。だしも素朴でいい味を出している。
 「うまい、うまい」といいながら、すぐさまそばを平らげ、とてもいい気分で店を後にする。メニューにあった「鮎ずし」というのも、すごく気になったが、これは次回(?)のお楽しみということにしておこう。
 「そば茶屋」から、100mほどすすむと、そこは早くも徳島県と高知県の県境だった。いよいよ「四万十川」のある高知県に入る。それだけで、なんとなくうきうきした気持ちになるから不思議だ。
 高知県では、ちょうど9月21日から23日までの3日間、夏季国体がおこなわれていた。高知県にはいると、いたるところに「ようこそ高知県へ」とかかれたのぼりが立てられ、気がつけば「よさこい高知国体○○競技会場」なんていう看板が立っている。
 車は大豊(おおとよ)ICから高知自動車道へ入る。長いトンネルを抜けて高知市を見渡せる高台に出ると、市街地の向こうにキラキラと輝く太平洋が見える。数年前、初めて高知を訪れたとき、宿泊していた宿の部屋から、大きな太陽が水平線の向こうからゆっくりと昇ってくるのを見た。それは、これまでに見たもっとも美しい日の出だった。こんなに美しくて豪快な日の出を毎日見ていると、きっと人生観も変わるだろうと、壁の坂本竜馬のポスターを見ながら思ったものだ。
 1週間ほど前に開通したばかりの須崎東ICで高知自動車道をおり、車は国道56号線を窪川町をめざして南下する。
 日が傾きかけた午後4時、窪川町に入った車は国道381号線を東へ。しばらく走ると、いよいよ左手に「四万十川」が見えてくる。このあたりは、大きく蛇行して流れる「四万十川」の源流から30kmあまりの場所で、まだ川幅もあまり広くはない。「おおっ! 四万十川じゃ!」と、私はすでに興奮状態であるが、同乗者は「これ、ほんとに四万十川なの?」というクールな反応である。
 国道381号線は、ずっと「四万十川」沿いを走り、今日の宿泊地である西土佐村まで続いている。到着予定の午後5時にはとても着きそうにないので、本日の宿である「西土佐村観光協会カヌー館」に遅くなることを連絡しなくてはならない。予想通り携帯電話は圏外の表示だったので、しばらく走ってやっと見つけた電話ボックスから電話をする。地図だけが頼りの旅で、夕暮れが迫り、少々不安な気持ちも頭をもたげていたのだが、電話に出てくださったカヌー館の女性が、「そこからなら、あと40分くらいで着きますね。気をつけて来てください」と言ってくださり、一気に元気回復である。
 ところで、四万十川には沈下橋と呼ばれる、欄干のない橋がいくつも架けられている。これは増水時に橋の決壊を避けるための設計なのだが、雄大な四万十川に架かるこの沈下橋、実に味があるのだ。夏には、この橋から子ども達は競って川に飛び込み、水遊びを楽しむ。橋の真ん中で、のんびり釣り糸をたらすのもいいかもしれない。橋は車1台がやっと通れるほどの幅しかないので、車はそれぞれ対岸で、相手の車が渡ってくるのをゆっくりと待つのである。
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 西土佐村に近づくと、そんな沈下橋が結構目に付くようになる。橋の近くの河原にはテントが設営され、カヌーを積んだ4輪駆動車がとまっていたりする。このあたりまで来ると、川幅もずいぶんと広くなり、四万十川が四万十川らしさをいよいよ見せはじめるのである。
 午後5時30分、西土佐村にある「観光協会カヌー館」に到着。「電話された方ですね」「はい、そうです」なんて会話をしながら、手続きを済ませる。
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 なんとなく受付の女性は年配の方だと思っていたのだが、若い人だったのでびっくりする。キーを受け取って、少し離れた場所にあるバンガローまで、車で移動。嬉しいことにこのバンガロー、四万十川からわずか数十メートルの岸辺に建てられている。これなら四万十川のせせらぎを聞きながら、眠りにつく…なんていう素敵なこともできそうだ。
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 バンガローの中に荷物を運び終えると、お腹もすいてきたので、食事に出かけることにする。ついでに着替えも持って、お風呂にもつかってこよう。
 食事は対岸に見つけた「喜多家」という居酒屋で。四万十川のテナガエビのから揚げはもちろん、土佐巻という、カツオの入った巻き寿司や、カツオのたたきなど、高知・四万十川の美味しいところをお腹一杯いただく。民宿もされている店のご主人に、広島から来たという話をすると、「これを送ってもらったんだ」と、以前、宿泊した若者から送ってもらったという広島の酒を、わざわざ取り出してきて見せてくれたりした。
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 食事の後は、近くの「山村ヘルスセンター」に移動して入浴。駐車場にはカヌーを積んだ車がずらりととまっている。ナンバープレートを見ると、実にいろいろな場所から、この西土佐村にやっていきているのがわかる。
 入浴を終え、バンガローに戻った頃には、すでにあたりは真っ暗になっていた。バンガローの前には、芝生のテントサイトが広がっており、キャンプをしている人も多い。今夜はみんな、四万十川のせせらぎを聞きながら、どんな夢を見るのだろうか?

 

ウッディーハウスミモザ→国道193→徳島県・脇町→国道192→
吉野川→国道32→大歩危・小歩危
ラピス大歩危・石の博物館(三好郡山城町上名1553-1)かずら橋(奥祖谷)→
→国道32→
高知県・大豊IC→高知自動車道→須崎東IC→国道56→
→窪川町→国道381→
四万十川観光協会カヌー館(幡多郡西土佐村用井)


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