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めんそーれ沖縄よじれ旅②「サンパウロの丘」 [めんそーれ沖縄よじれ旅]

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サンパウロの丘

 N女史は知る人ぞ知る雨女である。何かあるときには、ご丁寧に必ず雨を降らせてくれる。昨日も降った。今日も予報では曇りのち雨となっている。
 沖縄2日目の今日は、まず国道58号線を北上し、県道16号から「サンパウロの丘」へと向かう。
 国道沿いに延々とつづくフェンスは、東洋一の規模といわれる嘉手納基地である。町の85%を占めているというこの基地をはじめ、多くの米軍用地が集中するこのあたりは、イヤでも「占領されているのだ」ということを我々に感じさせる。
 案内の人は昨日の人と違って少し無口だ。車に乗っているのは昨日と同じメンバー。昨晩同室だったO姉さんとN女史は、今朝5時まで語り明かしたそうで、思いっきり眠そうだ。
 ところで、F母さんと、前を行く車から無邪気に手を振っている同級生Tちゃんは『買い物魔』である。とにかくどこへ行ってもお土産を買っているのだ。今朝もホテルの土産物屋に入り浸っていた。ひょっとして今も「今日は何を買おうかしら…」などと考えているのだろうか。
 そうこうしているうちに到着。「サンパウロの丘」なんていう、たいそうな名前がついているが、県道沿いの、どこにでもあるような土手である。よって観光施設があるわけでもないが、フェンスの向こうは嘉手納基地で、戦闘機の発着やエンジン調整の様子を轟音とともに見ることができる。

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東南植物楽園

 「サンパウロの丘」から、次の目的地である「東南植物楽園」は、車で10分ほどのところにある。
 「東南植物楽園」は亜熱帯海洋性気候という恵まれた気象条件の中で、温室の中で植物を育てるのではなく、大自然のもとで熱帯・亜熱帯植物の栽培を実現した、日本で最大の熱帯庭園だということだ。広大な園は「植物園」と「水上楽園」とにわかれ、中には2000種あまりの鑑賞用植物が育てられている。
 いつもは温室の中でしか見ることのできない熱帯の植物が、青空の下で見られるというのは、何か奇妙な感じさえする。
 ビデオを抱えた近所のSさんは「全部撮ってくるから」と、一人でどんどん行ってしまった。大学時代に山岳部に所属していたというA師匠も「全部見ないのはもったいない」とばかりに、足早に先に行ってしまった。F母さんと同級生Tちゃんもさっそく土産物店にでも入ったのか、いつのまにかはぐれてしまった。
 のこされたM父さん、O姉さんとUちゃん、N女史と私の5人は近くの売店に入り、「さーたあんたぎー」という、フライケーキみたいなものや、冷やしたヤシの実をその場で割って出してくれる「ヤシの実ジュース」などを飲んだ。ヤシの実ジュースはポカリスエットに似た、あっさり味だった。
 何気なく近くの店に目をやると、F母さんと同級生Tちゃんがアロハシャツを物色していた。まったく、期待を裏切らない人たちである。


万座毛

 「さーたあんだぎー」は大好評で、買い物に忙しくて食べ損ねた同級生Tちゃんは、「買ってきて!」と、近所のSさんに買いに行ってもらっていた。ダッシュで買いに走ったSさんの背中に「?」マークがついているのを私は見逃さなかった。
 出発の時間となり、再び車に乗りこむ。同級生Tちゃん、今度は遅れてきたA師匠を「遅刻!」と一喝! しかし、よくよく時計を見てみると、他のみんなが、たまたまそろっていただけで、A師匠は時間に遅れてはいなかった…。

 車は国道58号線沿いに「万座毛」へ。ここは隆起珊瑚の断崖で、上一面には天然の芝が広がっている。18世紀前半、この地を訪れた国王が「万人を座するに足る」といったところからこの名がついたといわれている。
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天候が悪い(小雨まじりの曇り空だ)せいか、風がものすごく強い。断崖に打ち寄せる白波が砕け散っていく様を見ていると、思わず海の中にひきこまれていきそうになる。
 対岸ではUちゃんが大はしゃぎで、こちら側から見ていると、落っこちてしまうんじゃないかと思うくらい、端っこまでよっているように見えて、「ひゃぁ」とか「あぁ」とか、思わず大声を出してしまう。

 岬の遊歩道を歩きながら、ここがどこかの景色によくにていることに気がついた。島根半島の西端にある日御崎だ。日御崎に隠岐の国賀海岸の景観をプラスしたような感じだ。
 「寒い」を連発しながらしばらく歩くと、万座ビーチの見える断崖で、琉装をまとった綺麗なお姉さん方にであった。ひとり300円で一緒に記念撮影ができるのだという。しかしよく考えると、これは高いのではないか。9人が入ると1枚2700円ということになってしまう。2枚撮ると5400円か。おいおい!

 駐車場にはいくつか店が出ているが、ここのほとんどは屋台で、次の日にはいなくなってしまうことが多く、もし、商品が傷んで居たりしてもあきらめるしかないという。案内の人がそう教えてくれたので、私たちの車のグループは誰も買い物はしなかったが、もう一方のグループだったF母さんと、同級生Tちゃんは、やはり買ったらしい。「だって、すごく安いんよ」と言っていたが、大丈夫だったのだろうか。

 「万座毛」を後にした車が、次に向かうのは昼食会場でもある「沖縄フルーツランド」である。そう言えば車から飽きるほど見えていたウージ畑(さとうきび)が、このあたりではすっかり姿を消している。案内の人に聞くと、「このあたりは(栽培に適した)赤土ではないから」という答えだった。


Vサインのシーサー

 車の中では家の玄関や屋根にあるシーサーの話題で盛り上がる。左側で口をあけ、福を呼び込んでいるのがオスのシーサー。右側で口を閉じ、呼び込んだ福を逃がさないでいるのがメスのシーサーだそうだ。
 「ねぇ、これがどこかにあったらおしえて」とN女史に言われて、手にしたガイドブックを見ると、そこにはVサインをしたシーサーが載っている。案内の人の話によると、最近の若い作家たちは、伝統的なものばかりでなく、こういった遊び心あふれる作品も作っているのだという。

 まもなく車は「沖縄フルーツランド」に到着。700人収容という大きな食堂の片隅で食事をし、園内を案内してもらう。パイナップル畑には、橙色をした小さなパイナップルがいくつか育っている。
 それにしても寒い。昨日は「これで寒いんだって」と笑っていた私たちだったが、広島よりずっと暖かいはずなのに、今日はものすごく寒く感じられる。昨日の案内の人が言っていた「沖縄に慣れると、これでも寒く感じるようになります」という言葉が思い出される。
 最後に案内された土産物屋で、パイナップルの切り方などを教えてもらう。説明の途中だというのに、同級生Tちゃんはお土産の方が気になってしょうがない様子だ。丁度いい機会なので、私もここでお土産をいくつか買うことにする。来る前からお土産に決めていたシーサーをあれこれ物色したが、どうも気に入るものがない。近所のSさんは昨日飲んだ泡盛が、どうしても忘れられない様子で、お酒のコーナーの前であれこれ悩んでいる。F母さんは予想通り(?)パイナップルを購入し、さっそく宅配便の手続きをしている。M父さんは、昨日「沖縄そば」にいれた、例の調味料を見つけ、買うか、買うまいかずいぶん迷っておられたが、結局買われなかったようだ。だが、沖縄から帰って「やっぱり買っとけばよかった」と後悔しておられた。


20年ぶりのジェットコースター

 車は県道116号線を本部方面へ走り、次の目的地である「国営沖縄記念公園」へと向かう。ここは1975年に開催された「沖縄海洋博」の跡地に作られており、園内には沖縄館、海洋文化館、水族館、白砂の美しいエメラルドビーチ、遊園地エキスポランドなど、見所がいっぱいで、1日中だって遊べる。
 私とUちゃんは、エキスポランドへ行き、そこのジェットコースターにのる約束をしていた。しかし、雨女さん(N女史)のおかげで、記念公園に着かないうちに、やはり雨となってしまった。「まだ、小雨だから大丈夫よね?」と心配顔のUちゃんと、記念公園に着くと同時にエキスポランドに向かって走った。
 入口から900mほどの距離があったが、雨が小雨のうちになんとか到着。私は20年ぶりくらいにジェットコースターに乗ることとなった。
 げらげら笑っている小学4年生の女の子の横で、30男が「うひゃ~」などと叫ぶのもかっこ悪いので、必死になってこらえたが、やはりこれは心臓に悪い。終わってほっとしているのもつかの間、O姉さんがやってきて、「もう一回乗ろう!」ということになってしまった。「後ろの方が怖いよ」というUちゃんのアドバイスでうしろに乗ってみる。2回目はさすがにスリルは半減していたが、寿命はこれで確実に数年ちぢまったように思う。一方のO姉さんは「たいしたことないね」と一言。さすがに親子である。

 

モトブリゾートの楽しい夜

 沖縄2日目のホテル「モトブリゾート」は、国営沖縄記念公園から国道449号線を2kmほど南下したところにある。ここはコンドミニアムといわれる、部屋で炊事のできる持ち主のいる部屋(まぁ、別荘みたいなものか)を含むホテルである。
 部屋は広くゆったりしており、和室、洋室、そして和洋折衷の部屋もある。私はその和洋折衷の部屋にA師匠と同室となった。
 部屋からベランダに出て外の景色を眺める。ホテルの裏にはプライベートビーチが広がっており、その先はサンゴ礁の海だ。そういえば、水平線というのを久しぶりに見たような気がする。
 部屋のベッドでテレビを見ているうちに、いつのまにか眠ってしまっていた。「畑さん、行こう」というA師匠の声で目を覚ます。夕食の時間らしい。
 実は早くも、料理に飽きがきていた。どこで食べる料理もなにか似たりよったりで、食欲がわかない。「沖縄らしいものを」という心遣いで、メニューが結果的に似てくるというのは、ある意味でしかたのないことなのだが、思わず「お好み焼きを出せ!」とか、「お茶漬けを出せ!」などと叫びたくなってくる。

 夕食の後は、みんなで本部大橋を渡って、3分ほど離れた町へと繰り出し、旅行最後の夜をエンジョイする。
 ここではO姉さんがボーリングの玉をうしろに投げ、N女史を直撃しそうになったり、同級生Tちゃんが歌のワンマンショーを繰り広げたりという、最高に楽しい夜となった。


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