SSブログ

山崎まさよし ONE KNIGHT STAND TOUR 2010-2011 今治市伯方開発総合センター 3.21 [山崎まさよし]

SN3J0211.jpg
 東日本大震災から3日後、公式HPに山崎まさよしのメッセージが公開された。そこには3月26日(土)からの東北公演を中止する旨と、「起こった事態を受け止め、今からやれることをがんばりたい」との言葉と共に、3月16日(水)の沖縄、18日(金)高松、19日(土)高知、21日(月・祝)今治の公演は予定通り行われることが掲載されていた。会場で義援金も募っているとの事だった。
 期せずして、今回のOKST最終公演となってしまった愛媛県今治市・伯方島での公演。チケットを手に入れた段階では、「3月中旬だし、きっとあのあたりの島々はぽかぽかとあったかいんだろうな~。釣り道具でも持っていこうかな。まさやんも釣りしてたりして…」なんて、のん気なことを考えたりしていたのだが、現実には、未曾有の大震災からわずか10日後、しかも東北シリーズの中止をうけての唐突な最終公演の場となってしまったのである。
 しまなみ海道・伯方島ICを降り、会場である「今治市伯方開発総合センター」が視界に入ってくると、公演前のワクワクした気持ちと同時に、「こんな時、LIVEを楽しんでいいのだろうか?」という、少々後ろめたい気持ちも頭をもたげてきた。

SN3J0206.jpg
 「伯方開発総合センター」は、穏やかな瀬戸内の海に隣接している。海岸には美しい砂浜が広がり、駐車場に植えられたパームツリーの向こうには大島・伯方大橋が見えるなど、風光明媚なところ。穏やかな海を眺めていると、連日報道されている震災のニュースも一瞬だが忘れることができる。いろいろな思いもあったが、やっぱり「今日はまさやんに元気をもらって帰りたい」そう思った。
 ライヴは今回のOKSTのメニューどおり、「月明かりに照らされて」からスタートした。ブルーのライトがまさやんを照らしている。今回は2階席のしかも一番後ろの端っこだったので、ステージの照明が、まさやんをどんなふうに照らしているのかがよくわかった。そして、今回のツアー自慢のPAシステムが、この一番後ろの席でもしっかりとその実力を発揮し、まさやんの最終日でちょっと疲れ気味(?)のヴォーカルもギターの音もクリアに聞かせてくれる。
 続く「ドミノ」でみんな立ち上がり始める。大きな歓声だ。3.11前と変わらぬこの光景に安心した。いつもと変わらぬライヴをやってくれるまさやんとお客さんに感謝せずにいられない。そういえば、2階席には子どもたちや地元の人とおぼしきおじさんおばさんが結構おられ、開演前には通路で足を止め、よもやま話に花を咲かせておられた。そんな光景が何だか嬉しかった。
 「まいど、山崎です。」
 ゆっくりめの「シングルマン」を終えると、ぼそっとMC。
 「とりあえず、千秋楽です。ワンナイト、もちろんまたやりますけどね。」
 本来予定されていた東北シリーズを終えた時が、ほんとうの千秋楽だという気持ちのにじむMC。
 「15周年といっているんですが、実はもう16周年になっているという…(笑)。今まではアルバムのないままツアーということばっかりだったんですが、今回はちゃんとアルバムが出てからのツアーというね(笑)。」
 「それにしても、5時半開演って、何なんでしょうか? まだ、明るくって、時差ぼけみたいな感じです(笑)。」
 機材紹介コーナーでは、ボイスパーカッションとハープを使ったリズムトラックをサンプラーで作り上げ、ハープの冴えたアドリブソロをのせていく。そのリズムが、戦後、元気をなくしていた日本人の心に力をくれた服部良一さんが、自身の楽曲に頻繁に取り入れていたブギのリズムだったことは、偶然ではない気がする。
 逆回転は「今治~、盛り上がっているか~い」「伯方島~、盛り上がっているか~い」「山崎まさよしです」だったかな。
 「伯方島…いいとこですね。伯方の塩…ですよね?(あまり反応がなく)なんや、ここの人やないんかい!(笑)。いつか島ツアーとか、してみたいですね。今回も、交通の便のあんまりよくないところでしたが、なんとか来てくれてるし…(笑)。」
 まさやんは、つとめていつものようにLIVEをやろうとしているように見えた。エレピに移動しての「Let's form a R&R band」は、やっぱりご機嫌だったし、プロの歌うたいとして、「起こった事態を受け止め」「やれることをがんばって」いたのだと思う。それでも、まさやんの紡ぎだした言葉の断片が、今回の出来事とリンクし、いつもとは違う感じで心に届いてくる。「週末には…月末には…時間が許す限り…」という言葉が、顔も知らない誰かの小さな幸せを想像させる。エレキを爪弾きながら、「そっちには僕の声…」とまさやんが歌うとき、やっぱり被災地のどこかで、まさやんの歌から力をもらっている誰かのことを想像してしまう。「どんなに明日が…」という言葉からも、「校舎の上に広がる…」という言葉からも…。
SN3J0208.jpg
 「わぁっ!!」 という小さな歓声で我に返った。11曲目の「セロリ」が始まった時だ。我々の近くにいた女性二人が、嬉しそうに顔を見合わせている。お二人にとって「セロリ」がどういうい曲なのかは分からないが、その反応がすごく素直で、こっちまで嬉しくなった。そんなお二人の様子をチラ見しながら、やっぱりまさやんは歌わなくてはいけない。今日、ここでLIVEを行ったのは間違いじゃない、と思った。まさやんからもらった笑顔は、きっと誰かの笑顔に繋がっていくのだ。
 「ツアーに出た時には、まさかこんなことになるとは思ってなくて、ONE KNIGHT STAND TOURも、今日で一応、千秋楽というか、…まだ、続くんですけどね。今回、東北の方は、災害が起きてしまって、中止になってしまったんですけど、基本、ギター1本で、電気あんまり使いませんし、呼んでもらえれば、行かせてもらうという…。あ、僕の仕事は呼ばれないと来れないんですけど…(笑)。今度来る時には、もう少しMCうまくなっときます(笑)。私も一応調べているんですよ。その土地のことは…。「るるぶ」とか読んで…。でも、ライブ始まるとポーンと真っ白になってしまうんですよ。…でも、口が達者なミュージシャンって信用できないでしょ? やっぱりグダグダな方が信用できる…(拍手)…よし、(ニヤッと笑って)作戦成功!」 
 本篇ラストの「晴男」のブレイク部分で、まさやんは「これからもライヴ続けるぞ~」と叫んだ。不意を突かれてビックリしたけれど、思いがけないこの言葉で、なんだかとっても元気になれた。「ららら~」を歌う声も、手の振りも自然と大きくなっていた。
SN3J0207.jpg
 アンコールで出てきたまさやんは、とりあえず長いツアーを終えた解放感からか、妙に陽気な感じで、「もう少し若ければ、「みんな元気~?」とかできるんだろうけど…」(やってーの声に)「みんなの声を、聞かせて、ヨ~!」とアイドルのように耳に手をやりマイクを持った左腕を客席に向かって突き出したりする。
 「この歳になると、老眼鏡が必要になったり…。距離感つかめなくって、小指打ったりとかね(笑)。なかなか怪我は治らないし。」
 「アレルギーの特効薬」のコールアンドレスポンスでは、「セロリ」で小さな声をあげた近くのお二人も、大きな声を出しておられた。そして、「One more time, One more chance」のイントロが聞こえると、お互い唇に手を当て、「しーっ!」ってやっておられたのが、やっぱり微笑ましかった。
 「ブランコ」を演奏し終えると、ガッツポーズも出たまさやん。客席に手を振りながら、笑顔でグラスをグイっとやるポーズなんかもしていた。
 まさやんの中では、「まだまだ終わってない」っていう中途半端な気持ちだろうし、千秋楽だからこそ味わえる達成感も解放感も少なかったのかもしれない。でも、OKST初めての場所・伯方島でのLIVEとして、震災10日後のLIVEとして、いろいろな立場の人たちに、まさやんの今の精いっぱいの歌を届けてくれたのではないかと思う。LIVEが始まる前、LIVEの最中、そして、LIVEが終わってから見かけたたくさんの人の笑顔。私たちが山崎まさよしにもらった笑顔と元気は、きっと、次の誰かの笑顔に繋がっていく。笑顔を繋げていくことも、傷ついた地域を、元気な地域が助ける一つの方法だと思うのだ。

 終演後の伯方島は激しい雨だった。でも、止まない雨はない。

 SET LIST
01.月明かりに照らされて
02.ドミノ
03.シングルマン
04.ぼくのオンリーワン
05.ルナちっく
06.Let's form a R&R band
07.週末には食事をしよう
08.ツバメ
09.全部、君だった。
10.僕と不良と校庭で
11.セロリ
12.君と見てた空
13.僕と君の最小公倍数
14.花火
15.ペンギン
16.ステレオ
17.I'm sorry
18.HOBO Walking~晴男

 encore
19.アレルギーの特効薬
20.One more time, One more chance
21.ブランコ

SN3J0212.jpg

2011年3月21日(月・祝)
OPEN 17:00 START 17:30
今治市伯方開発総合センター(旧・伯方町民会館)
2F ま列 8番
全席指定 5775円


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

OKST伯方へRainbow 「Rising」DELU.. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。