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没後10年 川端健生展 [風雲美術帖]


 1995年10月9日、すでにベッドの中で夢うつつとなっていた私は、突然の電話の呼び出し音に現実に引き戻された。受話器を取ると、相手は大学時代の友人Mだった。妙に小さく弱々しい声なのが気になる。
 「あのな、川端先生、亡くなってん…」
 「えっ?!」
一瞬、頭の中が真っ白になる。
 「嘘やろ?」
もちろん、こんな時間の電話で、そんな冗談を言うほど彼女は非常識な人間ではない。そんなことは重々承知していたのだが、そう聞き返さずにはいられなかった。受話器を置いて、しばらくすると涙があふれてきた。
 川端健生先生は大学時代、最もお世話になった先生である。先生の描かれる絵も大好きだったが、ぶっきらぼうに見えるけれども、実は繊細でやさしい人柄にも惚れていた。
 先生にとって、私たちは初めての学生だった。私たちの絵のレベルの低さには閉口しておられたが、丁寧に指導してくださったし、時々、自宅に招待してくださり、貧乏学生だった僕たちにご馳走してくださったりもした。

 あれから10年…。昨日、「没後10年 川端健生展」が京都市美術館・別館で開催されるという知らせが届いた。同封されていた絵葉書に、なんだかほっとするような、不思議な感情がこみ上げてきた。川端先生に会いたいと思った。
 展覧会に行って、先生に会おうと思う。眼鏡の奥の優しい先生の目に、今の私はどんなふうに映るだろうか?

「没後10年 川端健生展」
2006年1月10日(火)―15日(日) 開館時間/10:00~17:00(入館は16:30まで)
入館無料
京都市美術館 別館(京都会館東側)
〒606-8344 京都市左京区岡崎公園内 ℡075-762-4671

http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/index2.html


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コメント 1

mizu-k

「絵本を読む」にコメントをいただき、ありがとうございます。また、レスポンスが遅くなり、すいません。でも、川端先生の教えを受けた方から情報を教えていただけるのは、ウェブログならではで、うれしくなりました。実は私は川端先生の絵は、「絵本を読む」で取り上げた絵本「しょうとのおにたいじ」でしか知らないのですが、Jiriさんが書かれている「ぶっきらぼうに見えるけれども、実は繊細でやさしい人柄」は、「しょうとのおにたいじ」の絵にも表れているような気がします。今度の展覧会、ぜひ行きたいところなのですが、うちから京都まではとても遠く、無理かなと思います。でも、「しょうとのおにたいじ」はこれからも大事に読んでいきたいと思っています。
by mizu-k (2005-12-20 01:24) 

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